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「約束の地から」
ブログ「約束の地から」。 日々雑感、読書感想など。
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布川事件とは?
1967(昭和42)年8月30日の朝、茨城県北相馬郡利根町布川で、一人暮らしの大工のTさんが、自宅の八畳間で殺されているのが発見されました。室内は、強盗殺人であることが一目で分かるほど荒らされていました。事件は迷宮入りかと噂される中、捜査本部は、疑わしいと思われる者をアリバイ追求のために、別のささいな事件を口実に次々と逮捕しました。
 10月10日、桜井昌司さん(当時20歳)がズボン一本の窃盗で別件逮捕され、すぐにこのTさん殺しの取り調べを受けました。身に覚えのないことで、当然否認しますが、40日以上前のアリバイを思い出せないでいることにつけこまれ、また連日の深夜にまで及ぶ取調べに根を上げ、10月15日、「杉山と一緒にTさんを殺した」という自白を強要されました。
 この自白を元に、10月16日、杉山卓男さん(当時21歳)が暴力行為で別件逮捕されました。杉山さんは事件当日のアリバイを説明しましたが、「桜井がおまえとやった」と言っていると、Tさん殺しの厳しい取り調べを受け、17日、桜井さん同様に虚偽自白をさせられました。
 裁判では二人は一貫して無実を主張。二人をTさん殺しと結びつけるものは自白しかありません。指紋もなければ、目撃証言と呼べるようなものもありません。が、裁判所は、「やっていない者が自白なんかするわけがない」「二人の自白は、具体的かつ詳細で、真犯人が真実を語った信用できるもの」とし、この自白を根拠に無期懲役が確定。29年の獄中生活の後、1996年11月に仮釈放されました。
 二人は裁判のやり直しを求めて、2001年12月6日水戸地裁土浦支部に、第二次再審請求の申し立てをし、同裁判所は2005年9月21日に、再審開始決定の判断を下しました。しかし検察は不当にも即時抗告をし、審理は東京高裁に移りました。


事件のあらまし | 12:44 comments(0) | trackbacks(0) |メールはこちら
確定判決認定事実要旨
桜井さん杉山さんに有罪判決を出した裁判所は、桜井さん杉山さんが被害者Tさんをどのように殺したと認定したのでしょうか。再審請求をしているということは、裁判所の認定に不服を申し立てているわけですから、まず、この基礎の基礎とも言うべき、確定判決が認定した事実を頭に入れておきましょう。

確定判決事実認定要旨

 
請求人ら(桜井さん杉山さんのこと)は、昭和42(1967)年8月28日午後7時20分頃、茨城県北相馬郡利根町所在栄橋の袂(たもと)でたまたま出会った際、翌日行なわれる取手競輪の遊興資金の捻出方法を話し合ったが、桜井の知り合いで、小金を貯えて闇金融をしているとの噂があった同町大字布川--中略--大工T(当時62才)から、これを借り受けようと相談し、両名してそのころ同人方に赴き桜井が、杉山を戸外に待たせてT方勝手口に到り、Tに借金を申し込んだところ、同人からすげなく断られたため、両名はやむなく上記栄橋付近に引き返したけれども、ほかに金策のあてもなく再度Tに借金を申し込もうと相談し、再び両名うち揃ってT方に赴き、桜井が勝手口から屋内に上がり込みTに対し執拗に借金の申し込みをしたが同人から前同様断られたので、杉山も勝手口から屋内に上がり込み借金を申し入れたところ、Tから激しい言動で拒絶されたため、請求人らは、この際Tを殺害してでも金員を強取しようと決意するに至り、同所において暗黙のうちにその旨の共謀をとげ、同日午後9時ころ、同人方8畳間において、両名がTを仰向けに押し倒し、杉山がその上に馬乗りになり、桜井が同所にあったタオル及びワイシャツでTの両足を緊縛し、両名がTの口の中に同所にあった布を押し込み、桜井が玉村の頸部に同所にあった布を巻きつけてその上から両手で喉を強く押して扼し、よって、即時同所において同人を気管閉鎖による窒息死に至らしめてこれを殺害し、桜井が同室内のロッカーの中からT所有の現金約7000円を、杉山が同室内押し入れの中からT所有の現金約10万円をそれぞれ取得し、もってこれを強取したものである。          


事件のあらまし | 13:36 comments(0) | trackbacks(0) |メールはこちら
現場検証証書添付図面と写真
被害者のT氏が他殺体で発見されたのは、昭和42(1967)年8月30日の午前7時5分頃。現場検証は、同日午前10時50分から翌31日午後4時30分に行なわれている。下の図面は、その検証調書添付の被害者宅見取図と写真。


被害者宅全景 
 検証調書添付写真
 被害者宅の全景。 


 検証調書添付の被害者宅の見取図。
(←クリック。大きな図面のほうが見やすいです) 

 図面下(南側)の左手が玄関。右手が勝手口。被害者のTさんは、普段この勝手口を使っていて、玄関はいろんな物が置いてあって、使っていなかったようです。
 勝手口のところには踏み石があって、勝手口を入ったすぐは板敷きになっています。その奥に四畳間があって、四畳間の奥に八畳間があります。四畳間と八畳間の境のガラス戸は、四畳間側に倒れていて、扇風機がその下敷きになって倒れています。
 被害者Tさんの死体は八畳間に入ってすぐのところに、頭を右手(東側)押入れのほうに向けた状態で横たわり、死体の上には布団がかけられ、死体の下の床は落ち込んでいました。   
 被害者宅
 
検証調書添付写真
 通りから見た被害者宅の庭と玄関、勝手口。写真手前が玄関。奥の勝手口のところには踏み石があり、庭には自転車がありました。


検証調書添付写真
 四畳間と八畳間の境のガラス戸が四畳間側に倒れ、扇風機が、倒れたガラス戸の下敷きになっています。奥の八畳間の布団が散乱した様子も見えます。

 
検証調書添付写真
 八畳間の被害者の死体の下の床は、写真のように落ち込んでいた。激しい格闘があったと思われるが、どうしてこうなったのか真相は不明。




下のカラー写真は、平成10年9月に、ガラス戸実験用に大映スタジオに再現された被害者宅の様子。 (写真・真理子)
(大きな画像のほうが見やすいです。 クリック↓)


 


事件のあらまし | 17:08 comments(3) | trackbacks(0) |メールはこちら
再審開始決定要旨(水戸地裁土浦支部)
 えーっ、「突っ込み布川」に昨年水戸地裁土浦支部が出した再審開始決定要旨を載せるのを忘れていました。
 これまで「突っ込み布川」では、<殺害方法と手順>について書いてきました。書こうと思えばまだ書けるのですが、殺害方法と手順についてはとりあえずここまでとし、次回から下記再審開始決定要旨の「5 自白の検討」 「ゞ―卻兪」 について書いていこうと思います。
再審開始決定要旨

星  星  星  星


平成13年 (た) 第1号

請求人 櫻井 昌司   

同 上 杉山 卓男   

 決 定 要 旨

( 主  文 )

  本件について、請求人両名との関係で、それぞれ再審を開始する。

(理由の要旨)

1 事件の内容

 本件は昭和42年8月30日、茨城県北相馬郡利根町大字布川にあった家屋内で大工を営んでいた被害者が死体で発見され、強盗殺人事件として捜査本部が設置されて捜査された事件である。請求人櫻井昌司( 以下「櫻井」という。)及び同杉山卓男( 以下「杉山」といい、櫻井と杉山を以下「請求人ら」という。)は、強盗殺人事件の被告人として起訴され、第1審で、別件との併合審理の上、強盗殺人事件を請求人らの共同犯行と認定されてそれぞれ無期懲役の判決を受け、同判決は控訴棄却及び上告棄却を経て確定した。

 請求人らは、昭和58年12月にそれぞれ再審請求したが、同請求はいずれも棄却されて確定しており、本件は第2次再審請求である。

2 確定判決の有罪認定の根拠

 確定判決が請求人らを強盗殺人事件の犯人と認定した証拠構造によれば、請求人らと本件犯行とを結び付ける直接証拠は、請求人らの自白調書のみであり、自白以外の証拠は、請求人らの自白の信用性を担保するものであって、これらのうち本件犯行に近接した時間帯・場所で請求人らを目撃したとするA,B,C,D,E及びFの公判供述又は刑事訴訟法312条1項2号書面( 以下「6名の供述」という。)が、自白を離れた状況証拠として請求人らの有罪認定を支えるものであった。

 もっとも、6名の供述は、その目撃日時・場所との関係から、犯行状況に関する請求人らの自白を直接補強するものではなく、自白を離れた状況証拠としての証拠価値も限定的であるため、本件再審請求においては、新証拠により請求人らの自白の信用性が動揺することになれば、確定判決の有罪認定もまた動揺せざるを得ない関係にあるというべきである。

3 殺害行為の方法及び順序の検討

 当裁判所は、本件再審請求の審理に当たり、まず、殺害行為の方法及び順序という罪体の中心部分かつ自白の枢要部分に関する再審請求理由について、弁護人から提出された木村康医師による鑑定( 以下「木村鑑定」という。)等を検討することとした。

 この点について、確定判決は「請求人らが被害者の口の中に布(パンツ)を押し込み、櫻井が被害者の頸部に布(パンツ)を巻きつけてその上から両手で喉を強く押して扼した」旨認定しているところ、これは「杉山が被害者の口の中にパンツを押し込み、その後、櫻井が両手で喉を強く押して扼した」とする点でほぼ一致する請求人らの自白を直接証拠とし、秦資宣医師による鑑定書( 以下「秦鑑定書」という。)をその鑑定主文の限度で裏付け証拠として用いたものと考えられた。

 ところが、当裁判所がその信用性を認めた木村鑑定等を、確定審で取り調べられた秦鑑定書等の各証拠及びその他当請求審で提出された証拠と併せて検討すれば、被害者の死体には、請求人らの自白が真実であれば認められるはずの扼頸(手で首を強く押さえたこと)を示す所見が認められず、それどころか絞頸(パンツで首を絞めたこと)の所見が認められる可能性が高いのであり、さらに、絞頸が先で、被害者の口腔内にパンツを詰め込む行為が後に行われたとの合理的な疑いをも生じるに至った。

 したがって、木村鑑定等が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたならば、請求人らの自白は、殺害行為の方法及び順序という自白の枢要部分において、死体の客観的状況と矛盾する可能性が高く、その信用性に動揺を来すことになるから、確定判決のような殺害行為の方法及び順序を認定できたかどうか疑問を生じるものといわざるを得ない。

 そうなると、請求人らの自白全体の信用性にも動揺を来すものといわざるを得ないから、その枢要部分の信用性を減殺された請求人らの自白が確定判決における有罪認定を維持し得るほどの信用性を有するかを全面的に再検討する必要が生じた。

4 自白以外の証拠の検討

 まず、当裁判所は、請求人らの自白の信用性を検討する前提として、自白以外の証拠が、自白の補強証拠として請求人らの自白をどの程度補強しているのか、また、特に6名の供述が、状況証拠として請求人らと本件犯行との結び付きをどの程度支えているのかについて新証拠を併せて再検討した。

 そして、当裁判所の検討結果によれば、A,B,C,D及びEがそれぞれ請求人ら又はそのいずれかを目撃したのが果たして8月28日であったかについて疑問が生じ、Fが被害者方付近で目撃した人物が請求人らであったかについても、疑問が生じるとともに、請求人ら以外の者が本件犯行の犯人であったとの可能性をたやすく否定できないことも明らかになった。

 結局、6名の供述は、請求人らと本件犯行とを直接結び付ける自白を離れた状況証拠としての証拠価値を喪失し、自白の補強証拠としての価値も著しく減殺されており、その他の確定判決が自白の信用性を補強するものとして掲げた自白以外の証拠も含め、いずれもその枢要部分の信用性を減殺された請求人らの自白の信用性を積極的に増強するものではないことが判明した。

5 自白の検討
 そして、当裁判所は、請求人らの自白を全面的に再検討するに当たり、まず自白に至る経緯と自白の動機について新証拠を併せて検討した結果、少なくとも請求人らの自白が虚偽の自白を誘発しやすい状況の下でなされた疑いがあることを否定できないことが判明し、更に請求人らの自白の個々の供述内容を新証拠も加味して精査したところ、請求人らの自白は、

 “塙圓忙蠅觀舒泙ら逃走状況に至るまであらゆる点で看過し得ない供述変遷が認められ、捜査官の誘導に対する迎合供述ではないかと疑われる点が多数存在すること、

◆〆能的な自白内容には、客観的事実に符合しない可能性がある部分、その内容自体が不自然、不合理であり、又は、犯人であれば当然説明してしかるべき事項について十分な説明がされていない部分、関係者の供述と一致しない部分、請求人らの間で供述内容が一致しない部分が存在すること、

 自白によれば、あってしかるべき客観的事実の裏付けを欠いており、秘密の暴露も見当たらないこと、

ぁー白を録音したテープ3本は自白の信用性を増強するものではなく、その他自白の信用性を著しく増強させる証拠も存在しないなどの問題点を多々内包していることも判明した。

 したがって、請求人らの自白は、罪体の中心部分かつ自白の枢要部分について信用性が動揺していること、請求人らと本件犯行とを直接結び付ける状況証拠や自白の信用性を著しく増強させる自白以外の証拠を欠いていることなどの問題点を無視しても差し支えないほど高度の真実性を担保するものがあるとは到底認められないから、結局、請求人らの自白には、それだけで請求人らが本件犯行の犯人であると合理的な疑いを容れない程度に認めるだけの証明力はないものといわざるを得ない。

6 結  論

 以上によれば、当裁判所がその証拠価値について検討し、信用性を認めた木村鑑定等の新証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出され、これと既存の全証拠と総合的に評価すれば、確定判決の強盗殺人事件についての有罪認定に合理的疑いが生じたものとみとめられ、請求人らに対し、強盗殺人事件について無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したときに該当するというべきであるから、請求人両名との関係で、それぞれ再審を開始する。



事件のあらまし | 03:07 comments(0) | trackbacks(0) |メールはこちら